安全書類とは?主要書類の一覧や保存期間、作成の目的をわかりやすく解説

安全書類とは?主要書類の一覧や保存期間、作成の目的をわかりやすく解説

建設現場の着工前に、下請企業から元請企業へ提出が義務付けられている書類一式を「安全書類」と呼びます。(かつて緑色のファイルに綴じられていたなじみで、業界では「グリーンファイル」とも呼ばれています)

書類の作成は単なる事務手続きというわけではなく、現場の施工体制や作業員の情報、具体的な作業内容を正確に把握することで、「現場の安全を確保し、作業員の命を法的に守る」という極めて重要な役割を担っています

ただし、安全書類は種類が多く、記入項目も細かいため、初めて対応する方や、久しぶりに作成する方にとっては「何を準備すればいいのかわかりにくい」と感じやすい部分でもあります。

そこで本記事では、安全書類の基本的な概要から代表的な書類の一覧、さらに作成業務をスムーズに進めるためのポイントまで、実務に沿った形でわかりやすく解説していきます。

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目次

安全書類(グリーンファイル)とは?【簡単に解説】

安全書類(グリーンファイル)とは?【簡単に解説】

安全書類とは簡単にいうと、建設工事の着工前に、下請企業が元請企業へ提出する書類一式のことです。

建設業界では、これらの書類が以前は緑色のファイルにまとめられていたことから、「グリーンファイル」とも呼ばれています。

安全書類の目的は、工事の施工体制や現場に入る作業員の情報、作業内容などを、元請企業が事前に把握すること。安全書類があることで、現場の安全管理を行いやすくなり、万が一の際にも責任の所在を明確にできます。

安全書類は原則としてすべての建設現場で提出が求められるため、着工直前に慌てることのないよう、計画的に準備を進めることが大切です。

建設業で安全書類が必要な理由と目的

安全書類を作成する最大の理由は、現場の安全を確保し、そこで働く作業員を法的に守るためです。単なる事務手続きではなく、法律と実務の両面から重要な役割を担っています。なぜ必要なのか以下4つの理由をまとめています。

1.法令を守り、安全対策を形にするため

建設業法や労働安全衛生法では、労働災害を防ぐための安全対策や、安全管理体制の整備が義務付けられています。安全書類は、これらの法律で求められる内容を現場ごとに整理し、実際の運用に落とし込むための書類です。

2.現場の責任体制を明確にするため

安全書類では、どの会社がどの作業を担当し、誰が責任者なのかを明確にします。これにより、元請企業は現場全体の管理体制を把握し、適切な指示や管理を行うことができます。

3.緊急時にすばやく対応するため

作業員の氏名や連絡先、保有資格などが事前に整理されているため、万が一事故が起きた場合でも、迅速な連絡や救護対応が可能になります。

4.作業員の安全意識を高めるため

新規入場時教育やKY活動の記録を残し、共有することで、作業員一人ひとりが安全を意識しながら作業に取り組む環境をつくることができます。

現場TECH編集部

現場の安全管理や法令対応に直結するため、一つひとつ正確に整えることが前提になります。次項では、安全書類の一覧をまとめていきます。全体像を把握し、必要な書類から順に準備していきましょう。

安全書類(グリーンファイル)の種類一覧

安全書類(グリーンファイル)は種類が多く、一般的には20〜30種類以上に及びます。ただし、すべてを個別に覚える必要はなく、「労務安全関係」「施工体制台帳関係」「その他」の3つに分けて考えると整理しやすくなります。

実際に提出が必要な書類は、現場の規模や契約形態、作業内容によって異なります。ここでは、その中でも多くの建設現場で共通して求められる主要な安全書類を一覧で紹介します。

労務安全関係

現場作業員の安全確保や、使用する工具・機械の管理に関する書類です。下請金額に関わらず、現場の安全を管理するために不可欠な書類です。

書類名概要・目的
工事安全衛生計画書現場の安全目標やリスク回避策、安全教育計画などをまとめた計画書。
新規入場時等教育実施報告書新規作業員が現場のルールを理解したことを証明する報告書。
安全ミーティング報告書(KY活動)日々の危険予知活動の結果や改善策を記録したもの。
持込機械等(重機等)使用届クレーンや車両系建設機械の種類、運転者、資格を報告する書類。
持込機械等(電気工具等)使用届電気工具や溶接機などが点検済みで安全であることを宣言する書類。
工事・通勤用車両届現場に出入りする車両の管理や、搬入出時間の調整に用いられる書類。
火気使用届(願)溶接などの火気作業を行う際、場所や管理方法を申請・許可する書類。
有害物・化学物質持込使用届有機溶剤や特定化学物質を使用する際に、元請の許可を得るための書類。

施工体制台帳関係書類

工事を担当する会社の構成を管理し、関係者間の役割や責任の所在を明確にするための書類です。

書類名概要・目的
再下請負通知書自社がさらに別の会社に業務を依頼する場合に提出し、契約の流れを報告する。
下請負業者編成表一次下請からそれ以下の会社までの契約関係を一覧にまとめた図表。
施工体制台帳現場の作業員、機械、管理体制などを詳細に記録し、安全管理体制を明示する。
施工体系図現場の組織構成や作業工程を可視化した図。
作業員名簿氏名、住所、資格、健康診断受診日などを記載し、適切な人員配置を確認する。

その他の書類

特定の作業や状況に応じて、追加で提出が求められる書類です。

書類名概要・目的
有資格者一覧(技能講習)現場に入る作業員の保有資格を工種ごとにまとめた書類です。資格証のコピーとあわせて提出します。
外国人建設就労者現場入場届出書外国人作業員が現場に入る際、本人の情報や企業の受入体制が整っているかを確認するための書類です。
年少者・高齢者就労報告書18歳未満の年少者や高齢者(一般的に60歳以上)が現場に入る際、自社責任で就労させることを報告する書類です。
安全帯や脚立使用の確約書高所作業での安全帯使用や、脚立を単独で使用する際などに、安全ルールを遵守することを約束する書類です。
資格証明書の写し免許証(クレーン運転士など)や技能講習修了証のコピーです。適切な人員配置の確認に用いられます。

安全書類の提出タイミングと保管期間

安全書類は、原則として着工前に作成・提出する必要があります。また、提出後であっても、工事内容や作業員に変更があった場合は、都度内容を更新する必要があります。

そして、建設現場における安全書類(グリーンファイル)の保管期間は、一般的に原則5年間とされています。

これは建設業法第40条の3で義務付けられており、工事の安全管理に関する記録を一定期間保管することが義務付けられています。

参考文献:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000100

ただし、具体的な保管期間は、工事の規模や性質、または発注者の要求により異なる場合があります。

施工体系図など一部の書類は、10年間保管をする必要がありますので、保管期間を確認する際には、関連する法令や契約書を確認することが重要になります。

以下の記事で、建設業法における文書の保管期間を一覧でまとめていますので、より詳しく知りたい方はご覧になってください。

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安全書類作成を効率化するコツ

安全書類(グリーンファイル)は、現場の安全を守るために不可欠なものですが、書類の種類が多く作成に手間がかかるのも事実です。日々の業務負担を軽減し、正確に書類を作成するための4つの効率化のコツを解説します。

「全建統一様式」のテンプレートを活用する

安全書類のフォーマットに厳密な決まりはありませんが、全国建設業協会が発行する「全建統一様式」を使用するのが、最も効率的な方法です。

「全建統一様式」を活用するメリット

◎汎用性が高い
法令に基づいて作成されており、業界内でも広く認知されているため、多くの現場でそのまま使用できます。

◎ミスを防ぎやすい
必要な項目があらかじめ整理されているため、記載漏れを防ぎやすく、関係者間の認識のズレも起きにくくなります。

◎入手方法
地域の建設業協会への問い合わせや、オンラインのダウンロードサービスからExcel形式などで入手可能です。

現場TECH編集部

当サイトでは、入力用シートや自動計算機能を備えたExcelテンプレートも配布しています。安全書類の作成を効率化したい方は、あわせてご活用ください。
帳票テンプレート一覧

必要項目を事前に関係者と共有しておく

書類作成の途中で「担当者の名前がわからない」「資格の有無が不明」といった状況が発生すると、その都度確認作業が必要になり、作業が止まってしまいます。

手戻りを防ぐためにも、作業員全員の氏名や、現場責任者・主任技術者の連絡先、使用する重機や機材の点検状況などは、あらかじめ現場監督や協力会社から集めておくことが重要です。

事前に必要な情報を整理・集約しておくことで、書類作成中の問い合わせが減り、結果として作成にかかる手間や時間を大幅に削減できます。

パソコンの便利機能をフル活用する

地味ですが、作業効率を大きく左右するのが、OSやソフトに備わっている入力支援機能の活用です。

たとえば、よく使う作業員名や会社名、専門用語をユーザー辞書に登録しておけば、「やま」と入力するだけで「山田太郎」と変換でき、入力の手間を大きく減らせます。

また、コピー(Ctrl+C)や貼り付け(Ctrl+V)といった基本的なショートカットキーに加え、Excel内の特定のセルやシートへ移動できる機能(Ctrl+G)を使うことで、操作のスピードも向上します。

さらに、マウスの移動速度を自分に合うよう調整するだけでも、操作ミスが減り、作業中の細かなストレスを軽減できます。

クラウドシステムを導入する

より大きく効率化したい場合は、クラウドサービスの導入も有効です。

作業員情報や安全教育の記録を一元管理でき、手書きやExcel入力による記載ミスを大幅に減らせます。また、元請・下請間や作業員との情報共有もシステム上で完結するため、伝達漏れや確認の手間が発生しにくくなります。

書類の更新履歴も自動で管理されるため、「どのファイルが最新かわからない」といった混乱を防げる点もメリットです。

まとめ

安全書類は、建設業界における安全管理の重要な一部です。

その作成・管理は、作業者の安全を確保し、事故を防ぐために不可欠と言っても過言ではありません。

大事な業務でありつつも時間と労力を必要とする業務であるからこそ、適切な安全書類管理ツールを活用することで、その負担を軽減し、より効果的な安全管理を実現できます。

安全書類の作成・管理については、常に最新の法令を確認し、適切な対応を心掛けましょう。 

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著者情報

施工管理業務の効率化や建設DX・ペーパーレス化を中心に、建設業における業務改善やデジタル活用について、調査・整理・解説を行っています。国土交通省の公開資料を参照し、制度背景と現場実務のズレが生じやすいポイントを、実務目線で噛み砕いて解説しています。

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